「カウンセラーとして自宅で開業するには、どうすればいいんだろう?
「そもそもカウンセラーが自宅で開業できるのかな…」
自宅での開業を検討するカウンセラーは多いですよね。必要な手順をきちんと踏めば、カウンセラーとして自宅開業するのは可能です。
しかし、開業までの具体的なイメージがないまま進めてしまうと「もっと計画的に準備すればよかった…」と後悔しかねません。
そこで本記事では必要なものも交え、カウンセラーが自宅開業する手順をわかりやすく解説します。この記事を読めば、カウンセラーとして自宅開業するまでの流れが明確になりますよ。
- カウンセラーは実績や資格があると自宅開業しやすい
- 自宅開業する際はまず事業内容を明確にし、提供サービスを考える
- カウンセラーとして自宅開業するときは個人事業主か法人かを選ぶ
本記事の要点を音声でチェック!
カウンセラーは自宅で開業できる
大堰堤として、カウンセラーは自宅での開業が可能です。
カウンセラーの仕事は大規模な設備を必要としないため、自宅の一室を活用してカウンセリングルームを作れるからです。
オンラインでのカウンセリングであれば、使用する場所は少なくなります。また、店舗を借りるための賃料や高額な初期投資が不要なので、リスクを抑えて独立できるのが魅力です。
実際に元々介護士として働いていたゆうとさんは勉強を重ねて実績をつくり、カウンセラーとして自宅開業を果たした例もあります。
このように、カウンセラーの開業は自宅からでもスタートできるのです。カウンセラーが開業する手順をより詳しく知りたい方は、下の記事を参考にしてください。

自宅開業のメリット・デメリット
メリット | ・初期費用や固定費を大幅に削減できる ・通勤時間がなく、家事や育児と両立しやすい ・自分の生活リズムに合わせて自由に働ける |
デメリット | ・仕事とプライベートの線引きが難しい ・自宅の住所がクライアントに知られる ・気持ちの切り替えがうまくいかない場合がある |
カウンセラーが自宅開業するメリットは、初期費用や固定費を大幅に削減できる点です。
テナントを借りる必要がないため、家賃や内装工事費などの出費を抑えられます。通勤時間や交通費もかからないため、家事や育児との両立にあてやすくなります。自分の生活リズムに合わせて営業時間を設定できるなど、働き方の自由度が高いのも利点です。
一方で、仕事とプライベートの線引きが難しくなるというデメリットもあります。
生活空間にクライアントを招き入れたりオンライン業務をしたりする中で、気持ちの切り替えがうまくいかないケースも考えられます。また、自宅の住所がクライアントに知られるため、プライバシー保護の観点で注意しましょう。
実務経験を経てからの開業が吉
カウンセラーとして自宅開業を目指すなら、まずは実務経験を積むのが賢明です。
現場での経験があると、カウンセリング技法やクライアントへの応対力が身につくからです。急なトラブルやクレームが発生した際にも、経験があれば柔軟に対処しやすくなります。実績そのものが信頼や説得力につながり、良い口コミや紹介も得やすくなるでしょう。
反対に実務経験がないまま開業すると、課題に直面する可能性があります。
たとえば、専門外の相談(法律や医療など)をされたときに適切な判断ができないと、信頼を失ってしまいます。実績がない状態では集客に苦戦し、収入が安定するまでに時間がかかる傾向もあります。
資格を取得しておくと信頼性が増す
カウンセラーの開業に資格は必須ではありませんが、取得しておくとクライアントからの信頼性が増します。資格があることで、専門的な知識やスキルを持つ証明になるからです。
クライアントは、自分の悩みを打ち明ける相手を選ぶ上で安心できる材料を求めています。クライアントがカウンセラーを探す際に、資格の有無は判断基準の1つとなるでしょう。
たとえば、カウンセラーには下記の資格が役立ちます。
資格を取得しておくとスキルを証明しやすくなり、集客の面でも有利に働く可能性があります。
下記の記事では独学でカウンセラーの資格を取得できる方法を解説しているので、あわせてご覧ください。

STEP1:事業内容を明確にしよう
カウンセラーの自宅開業には、まず事業内容を明確に決めましょう。
対面かオンラインかどうかによって、準備するものが異なるからです。提供するサービスの内容を具体的にすることで、必要な準備や今後の計画が立てやすくなります。
ここからは、事業形態を2つにまとめて解説します。
事業1:自宅での対面カウンセリング
自宅での対面カウンセリングは、クライアントと直接顔を合わせるのが特徴です。表情やしぐさなど言葉以外の情報も読み取りやすく、深い信頼関係を築きやすいメリットがあります。
対面形式で開業する際は、プライバシーが守られる静かな個室を確保しましょう。クライアントがリラックスして話せるように、落ち着いた雰囲気の椅子や照明などの家具があると良いです。
また、衛生面への配慮として、アルコール消毒液やパーテーションなどの感染症対策グッズも用意しておくと、クライアントに安心感を与えられます。
事業2:オンラインカウンセリング
オンラインカウンセリングは、インターネットを通じてビデオ通話で行う形式です。
場所を選ばずに全国のクライアントを対象にできます。クライアント側も自宅から気軽に相談できるため、対面に比べて利用のハードルが低いのが特徴です。
オンラインで開業するためには、まず安定したインターネット環境を整えましょう。さらに、クリアな映像と音声でやりとりができるように、下記のものがあると良いです。
- 性能の良いパソコン
- Webカメラ
- マイク
使用するビデオ通話ツールの操作に慣れておくのはもちろん、カウンセリング中に家族の声が入らないようにプライバシーが確保された静かな環境を確保してください。
STEP2:集客から収益の獲得を具体化しよう
事業内容が固まったら次にクライアントを集め、収益を得るまでの一連の流れを具体的に計画しましょう。
カウンセリングの質が良くても、サービスの存在を知ってもらえなければ事業は成り立ちません。集客方法には下記のものがあります。
また、収益を得るためには、カウンセリングの料金設定が欠かせません。1時間あたりの料金やセットのコース料金などを決めましょう。料金を受け取るための決済方法も準備が必要です。銀行振込やクレジットカード決済など複数用意しておくと親切です。
STEP3:自宅での開業形式を決めよう
カウンセラーとして自宅開業する際の事業計画が具体化したら、次に開業形式を決めましょう。
ここでは、下記2つの開業形式を解説します。
形式1:個人事業主として開業
メリット | ・開業手続きが簡単 ・初期費用が安い ・自由度が高い |
デメリット | ・社会的信用度が法人より低い傾向がある ・事業の責任をすべて個人で負う |
こんな方におすすめ | ・まずは小さく始めたい ・副業からスタートしたい |
個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を行う形態です。
特徴は、開業手続きがシンプルな点です。法人設立のように定款の作成や登記など複雑な手続きは必要なく、税務署に開業届を提出するだけで事業を開始できます。
また、開業時にかかる費用がほとんどないのも魅力です。法人設立には登録免許税などで費用が発生しますが、個人事業主の開業手続きは無料で行えます。
事業の運営も自由に進めやすく、利益の使い道も柔軟に決められます。手軽さや自由度の高さから、まずは小さく始めたい方や副業でカウンセリングをしたい方に向いています。
下記の記事では心理カウンセラーが個人事業主として独立する手順を解説しているので、あわせてご覧ください。

形式2:法人設立
メリット | ・社会的信用度が高い ・経費として認められる範囲が広い ・個人の資産と事業の資産を分離できる |
デメリット | ・設立に費用と手間がかかる ・赤字でも法人住民税がかかる ・社会保険への加入義務がある |
こんな方におすすめ | ・事業を大きく展開したい ・将来的に融資を受けたい |
法人設立は、株式会社や合同会社などを作り事業を行う形態です。
法務局に登記されることで事業内容が公的に証明されるため、個人事業主と比べて社会的な信用度が高いです。信用が高いと金融機関から融資を受ける際や、他の企業と取引する上で有利に働きます。
また、事業の利益が一定額を超えると、個人事業主の所得税よりも法人税の方が税率を低く抑えられる可能性があります。
ただし、法人設立には定款の作成や登記申請など専門的な手続きが必要です。事業が赤字でも毎年支払う法人住民税があるなど、維持コストもかかります。
法人設立は将来的に事業を大きく展開したい方や、複数のスタッフを雇用して運営したいと考えている方に向いています。
STEP4:自宅開業に必要な書類を提出しよう
開業形式を決めたら、事業を開始するために必要な書類を税務署に提出します。
ここでは、自宅開業に必要な書類を2つにまとめて解説します。
1.開業届

開業届は、事業を開始した事実を税務署に知らせるための書類です。
開業届を出すことで屋号での銀行口座が開設できたり、事業用のクレジットカードがつくりやすくなったりします。
提出は、e-Taxを利用してオンラインで完結できます。画面の指示に従って必要事項を入力し、マイナンバーカードで電子署名をしてからデータを送信しましょう。24時間いつでも好きなタイミングで提出できる便利な方法です。
事業を開始した日から1ヶ月以内に、納税地を管轄する税務署へ提出してください。
2.青色申告承認申請

青色申告承認申請書は、確定申告で「青色申告」という節税メリットの大きい方法を選ぶために必要な書類です。
青色申告をすると最大で65万円の特別控除を受けられたり、事業の赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せたりします。
原則として、事業を開始した日から2ヶ月以内に提出が必要です。e-Taxで作成できるため、開業届と同時に提出しておくと手続きが一度で済みます。
STEP5:保険の加入有無を決めよう
カウンセラーとして自宅開業する際には、万が一のトラブルに備えて保険への加入を検討しておきましょう。
とくに検討したいのが「賠償責任保険」です。カウンセリング中の言動が原因でクライアントの症状が悪化したなどと訴えられ、損害賠償を請求されたときに備えるためのものです。
たとえば、心理的なサポートのつもりのアドバイスが、クライアントにとっては不適切だったと受け取られる可能性も0ではありません。保険への加入は任意ですが、専門家としてのリスク管理の一環として自分の事業を守るために検討する価値はあります。
保険会社によって補償内容や保険料はさまざまなので、複数のプランを比較検討してみましょう。
まとめ
カウンセラーの自宅開業は、特別な資格がなくても計画的に準備を進めれば実現可能な働き方です。
大きな設備投資が不要のため、リスクを抑えながら自分のペースで事業を始められます。
大切なのは事業内容や集客方法を具体的に計画し、開業形式や必要な手続きを着実に実行することです。
まずは、どのようなカウンセラーになりたいか、どんな人の悩みに寄り添いたいかをじっくり考え、自宅開業へ一歩踏み出してみましょう。