「セラピストが独立するにはどうすればいいんだろう?」
「何から始めればいいのかわからない…」
専門性を活かし、フリーランスセラピストへの独立を考えている方は多いですよね。計画的に準備を進めれば、セラピストの独立・活躍は十分に可能です。
しかし、独立までのイメージが湧かない人もいるはず。具体的な方法があいまいなまま独立しては「もっとちゃんと準備しておけばよかった…」と後悔しかねません。
そこで本記事ではステップ形式で、セラピストのフリーランス独立手順を紹介します。この記事を読めば、セラピスト独立への道筋が明確になり、着実に準備を進められますよ。
- セラピストの独立は、経験を積むかスクール経由がおすすめ
- 集客・開業の綿密な準備が安定した事業の礎になる
- フリーランスのリアルを知り、働き方をイメージしよう
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セラピストがフリーランスに独立する3つの方法
はじめにセラピストがフリーランスに独立する主な方法を、3つにまとめて紹介します。
方法1:企業で実務経験を積み独立
企業で実務経験を積み独立するメリット | ・収入を得ながら経験を積める ・先輩セラピストや経営者から実務を学べる ・顧客対応やリスク管理を体験できる |
企業で実務経験を積み独立するデメリット | ・勤務時間や内容に制約があり自由度は低い ・独立までに時間がかかる場合がある ・会社のルールに縛られる可能性がある |
セラピストがフリーランスに独立する方法の1つが、企業で実務経験を積むことです。仕事をしながら、独立に必要なスキルやビジネスノウハウを学べるためです。
たとえば施術以外に予約管理や顧客との関係づくりなど、独立後に必要になるスキルが身につけられます。
時間はかかりますが、身近にロールモデルがあるため、着実に成長できます。堅実な独立を目指すなら、まず企業で実務経験を積むことがおすすめです。
方法2:副業で実務経験を積み独立
副業で実務経験を積み独立するメリット | ・本業の収入により金銭的リスクが少ない ・独立前に集客や顧客対応を試せる ・自分のペースで仕事を育てられる |
副業で実務経験を積み独立するデメリット | ・本業や生活があり時間の確保が難しい ・収入の柱になるまでに時間がかかる ・副業規制のある職場では始めにくい |
副業で実務経験を積み独立するのも、セラピストがフリーランスになるためにおすすめの方法の1つです。なぜなら、本業の収入を維持しつつ、リスクを抑えた独立準備ができるためです。
たとえば、空き時間にレンタルサロンで施術をおこなえば、集客やサービス提供の流れを小規模で体験できます。口コミやSNSを利用した広告で、独立後の集客導線を整えておくことも可能です。
副業での取り組みは時間の制約が大きい反面、低リスクで実践的に学べる魅力があります。無理のない範囲で、少しずつ実績を積み上げたい方に向いています。
方法3:養成スクール経由で独立
養成スクール経由で独立するメリット | ・基礎から応用まで学べる ・資格取得や修了証で信頼が得られる ・独立サポートや人脈づくりの機会がある |
養成スクール経由で独立するデメリット | ・学ぶための初期費用(数万円~数十万円)が必要 ・実務経験が得られない場合もある ・スクール選びを誤ると質の低い学びになる可能性がある |
セラピストがフリーランスとして独立するためには、養成スクールを経由する方法もおすすめです。養成スクールで基礎知識から実技まで体系的に学べ、短期間で独立に必要なスキルを習得できるためです。
たとえば、カウンセラーやセラピストの養成スクールでは、実践に近いロールプレイが体験できます。スクールによっては開業サポートをおこなっている場合もあり、未経験からでも独立しやすいのが特徴です。
養成スクールに通わなければならないという決まりはありません。しかし、費用や時間をかけた分、プロから実践レベルの知識や技術を習得でき、資格を取得できる魅力があります。
学費やスクール選びに注意は必要ですが、未経験から確実に基礎を作りたい方には推奨されます。確実な知識と資格を手に入れたあとに、独立したい方に向いています。
なお、おすすめのセラピスト養成スクールを詳しく知りたい人は次の記事を参考にしてください。

セラピストがフリーランスに独立する開業手順
ここからはセラピストのフリーランス開業手順を、6つのステップにまとめて解説します。
セラピストとして開業するまでの道のりに、決して「こうしなければならない」という決まりはありません。本記事で紹介するのは、カウンセリングの相談室編集部が推奨する独立手順です。
記事を参考にしながら、状況に合わせて計画を調整し、準備を進めていきましょう。
STEP1:実務経験を積む
まずは、セラピストとして実践経験を積みましょう。施術スキルのほかに、接客対応や予約管理など、独立後に必要となる知識や感覚は、現場でしか身につきません。
具体的には、リラクゼーションサロンや整体院などで勤務し、多くの対象者を施術する経験を積みましょう。現場でフィードバックをもらうことで、技術が向上するだけでなく対象者と信頼関係を築く力も養われます。先輩セラピストや経営者からビジネスのノウハウを学べるのも大きなポイントです。
焦って独立するのではなく、経験を通して得意なことや苦手なことを把握し、独立に向けた土台を築きましょう。
STEP2:資格を取得する
実務経験を積み、信頼性を高める資格を取得しましょう。セラピストの独立において、資格は必須ではありません。しかし、資格を保有していると対象者からの信頼や安心につながります。
取得する場合、下記の資格がおすすめです。
資格名 | 種別 | 概要 |
---|---|---|
公認心理士 | 国家資格 | 2017年に誕生した日本初の心理に関する国家資格。難易度が高い。 |
アロマセラピスト | 民間資格 | アロマテラピーの理論と実践に長けている。リラクゼーション分野で活躍する。 |
メンタル心理カウンセラー | 民間資格 | 心理学の基礎を学べる基礎的な資格。初学者向けで取得しやすい。 |
リフレクソロジスト | 民間資格 | 足裏や手の反射区を刺激する技術を習得する。リラクゼーションに役立つ。 |
資格取得はゴールでなく、独立後の活動のための第一歩です。あなたが目指すセラピスト像に合った資格を選び、計画的に取得しましょう。
STEP3:事業・サービスを設計する
フリーランスとして成功するには、事業・サービスの設計が欠かせません。設計がしっかりしていないと「誰にどんな価値を届けるのか」があいまいになり、質の高いサービスにつながらないためです。
設計がきちんとしていると、料金設定や集客の方法が明確になり、安定した経営が可能です。
フリーランスのセラピストとして事業を設計する際は、下記を基本にしてください。
- ターゲットを明確にする
- 提供するサービス(施術やカウンセリングなど)を決める
- 相場とあなたの価値に見合った料金を設定する
たとえば「子育て中の母親」をターゲットにする場合は、短時間で受けられるリフレクソロジーが提供できます。ターゲットとサービス設計がマッチすると、口コミで評判が広がり、安定した顧客を獲得できるようになります。
事業・サービス設計は経営の基礎です。後回しにせず、開業準備の早い段階で固めておきましょう。
STEP4:集客の動線を整備する
提供するサービスを設計したら、次は集客導線を整備しましょう。どれだけ素晴らしいサービスを作っても、見込み客に知られなければ利用してもらえません。
多くの開業セラピストは、複数のツールを組み合わせて集客の仕組みを構築しています。見込み客に認知され、興味を持ってもらい、予約につなげる集客導線には、下記の方法がおすすめです。
- SNS(Instagram、Xなど)
- ブログやホームページ
- 問い合わせフォーム(Google Forms、formrunなど)
たとえば、アロマセラピストの場合はInstagramで世界観やコンセプトを発信し、ブログで詳細を補足します。見込み客はサービスに対する思いを感じ、ブログ内の問い合わせフォームから申し込むようになります。
このように、集客の流れを整備することが、安定した経営の要になるのです。
STEP5:開業に必要な書類を用意する
フリーランスセラピストとして事業を始めるためには、法的に必要な書類を用意しましょう。これを怠ると、税務上の不利益を被ったり、社会的信用を損なったりする恐れがあります。
開業届

開業届とは、個人事業を始める際に税務署へ提出する書類です。提出によるメリットやデメリットを、下記にまとめています。
開業届を提出するメリット | ・個人事業主として公的に認められる ・屋号を持てる ・事業用の銀行口座やクレジットカードの開設がスムーズになる |
開業届を提出しないデメリット | ・税務署から無申告とみなされる可能性がある ・事業の取引で不利になる可能性がある |
最寄りの税務署へ紙で提出するか、e-Taxを利用してオンラインで提出します。開業後1か月以内の提出が必要です。
青色申告承認申請

青色申告承認申請とは、税制上の優遇を受けるために必要な申請書です。
青色申告承認申請を提出するメリット | ・電子申告・複式簿記の場合、最大65万円の特別控除が受けられる ・赤字が出た場合、翌年以降3年間にわたって繰り越せる ・節税効果が受けられる |
青色申告承認申請を提出しないデメリット | ・白色申告になり、控除の額が少なくなる ・節税の機会を逃す |
届け先は税務署で、開業届と同時に提出するのが手続きの効率化や期限管理の関係でおすすめです。新規開業の場合は開業から2か月以内、開業済みの場合は青色申告を適用したい年の3月15日までに申請しましょう。
STEP6:開業環境を整える
最後に、フリーランスのセラピストとして開業する際の環境を整えましょう。なかでも、職業賠償責任保険への加入は必須といえる1つです。
職業賠償責任保険とは、施術中の事故やけがなど、万が一トラブルが発生した場合に備える保険です。顧客に対する損害賠償をカバーし、事業の継続を守ります。
保険に加入していない場合、事故やトラブルが起きると、すべて自己負担で対応しなければなりません。場合によっては、事業の継続そのものが危うくなることもあるため注意が必要です。
職業賠償責任保険加入の流れは、施術内容に対応した保険商品を選びます。次に、補償範囲や金額を保険会社に連絡し、契約した証書を保管しておきましょう。
フリーランスとして安定した活動をするには、環境やリスク管理の整備が欠かせません。
フリーランスセラピストのリアル
フリーランスセラピストの実態は、華やかさばかりではありません。
集客がうまくいかない時期も、施術以外に経理や広報、契約管理まで一人で担う必要があるためです。なかには孤独や体力の限界を感じる方もいます。
平均収入 | ・平均年収300~450万円程度 ・安定して高収入を得るには工夫が必要 |
メリット | ・自分のペースで働ける ・経営の知識やスキルが身につく ・一緒に働く相手やお客を選べる ・お客様の笑顔がモチベーションにつながる |
デメリット | ・収入や集客に波がある ・営業や広報を続ける必要がある ・経理や広報までおこなうため多忙になる ・孤独感や心身のストレスが生じやすい |
※上表はフリーランスセラピストとして働くまりさんとセラピストSaoriさんの情報をもとに記載しています。
フリーランスセラピストは自由度ややりがいが大きい反面、収入の不安定さや多忙という課題を抱えています。現実を理解したうえで、自分に合った働き方を選ぶことが重要です。
フリーランスセラピストとして開業する際の注意点
フリーランスセラピストが開業する際の注意点は、事業を継続できる体制を整えることです。集客や経営管理、トラブル対応などのビジネススキルが必要になります。
たとえば、下記のポイントに注意して事業を運営するべきです。
注意が必要なリスク | 対策 |
---|---|
施術中の事故・ケガ | 職業賠償責任保険に加入しておく |
顧客の物品紛失・破損 | 契約書で責任範囲を明確化する |
競合店との差別化 | 新しい技術や知識の習得による専門性の向上 |
フリーランスは、独立してからが本当のスタートです。独立後のトラブルに対応できなければ事業が継続できず、生計を立てることも難しくなるでしょう。
フリーランスセラピストとして活動を安定させるためには、技術の向上だけでなく、リスク管理や専門性の追及が重要です。
まとめ
本記事では、セラピストが独立するための具体的なステップを解説しました。
準備不足によるリスクを避け、計画的に取り組むことで、安定した収入と自分らしい働き方が実現できます。フリーランスとして自由に働くには、多忙さや現実を理解し、具体的な働き方をイメージしましょう。
この記事が、あなたの理想の働き方を実現する一助となれば幸いです。