「カウンセリングルームの開業は儲かるのかな?」
「開業するとどれくらい収益が出るんだろう?」
カウンセリングルームを開業したい気持ちはあるものの、安定して収益をあげられるか不安な方は多いですよね。
大前提として正しい準備と計画を立てれば、カウンセリングルームで安定した収益をあげることは可能です。
ただし、事前の計画が不十分なまま開業すれば「もっと準備しておけばよかった…」と後悔しかねません。
そこで本記事では体験談も交え、カウンセリングルームの開業における収益事情を解説します。儲けの試算方法や開業のメリット・デメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- カウンセリングルームの開業にはビジネス視点が欠かせない
- 安定した経営には集客の構築と無理のない働き方が必要
- 自由とリスクは表裏一体のため現実的な視点を持とう
カウンセリングルームの開業で儲かるかは経営次第
カウンセリングルームの開業で儲かるかは、経営次第です。なぜなら、経営はカウンセリングのスキルだけでは成り立たないからです。
カウンセリングルームの収入は、カウンセラーとしてのスキル以外に、オーナーとしての経営力にも支えられています。経営力とは、集客や価格設定、リピート構築など安定した収益を作るために必要な戦略です。
開業初期は集客が安定せず、満席になるまで時間がかかることもあります。広告だけに頼らずSNSや口コミ、ブログなどを活用した地道な集客が欠かせません。
また、経費によって手元に残る利益は変わります。特にテナントでの開業は、家賃や広告費・保険料などの固定費がかかるため、コスト管理が重要です。一方、自宅開業やオンラインカウンセリングも1つの選択肢です。固定費を抑えつつ全国のクライアントに対応できるため、利益を高めやすくなります。
カウンセリングルームの収益はスキルだけでなく、経営戦略や集客方法、コスト管理に左右されます。生活スタイルに合った展開を選び、長く続けられる仕組みを作ることが開業成功のポイントです。
カウンセリングルーム開業の体験談
ここでは「盛岡ハートフルカウンセリングセラフィ」の事例をもとに、カウンセリングルーム開業のリアルを紹介します。
本ケースでは正社員と同程度の労働を維持し、努力を重ねた結果、安定した収益を確保できています。内容からわかる開業のメリットとデメリットを、下記にまとめました。
開業のメリット | ・自分のペースで働けるため体調を崩しにくい ・努力次第で収入が見込める ・1対1のカウンセリングに集中し、質の高いサービス提供ができる |
開業のデメリット | ・1対1の構造上、対応人数や収入に限界がある ・無理なスケジュールは健康リスクにつながる ・経営や集客、事務作業などを自分で担う必要がある ・施設の維持費や学会の年会費などが必要 |
自分のペースで働けて、努力次第で収入を伸ばせるのが開業のメリットです。また、カウンセリングに注力して質を高められるのも魅力です。
一方、1対1を必要とするカウンセリングの構造上、収入や時間には限界があります。無理をすると体調を崩してしまうため、注意が必要です。また、運営のランニングコストや、事務処理や経営などすべてを管理しなければならない点はデメリットといえます。
カウンセリング開業は安定した収益を得られますが、収入や体力面などに課題もある働き方です。長期的な経営には、無理のない収益モデルと働き方の設計が欠かせません。
カウンセリングルームの開業における儲けの試算方法
カウンセリングルーム開業の儲け(利益)は、次の計算式で試算できます。
儲け(利益)=収入(売上)-経費
収入(売上)は、1回あたりの料金×1日の件数×稼働日数−経費で計算できます。経費には、家賃や光熱費、広告費用などの固定・変動費が含まれます。
「儲かるか」を把握するには、収入や経費、利益などを具体的な数字で試算することが大切です。ここでは、自宅開業や店舗開業、副業の3パターンをモデルとして試算します。
自宅開業 | 店舗開業 | 副業スタイル | |
---|---|---|---|
相談料 | 7,000円/回 | 7,000円/回 | 7,000円/回 |
1日のセッション数 | 4件 | 5件 | 2件 |
月の稼働日数 | 20日 | 22日 | 8日 |
家賃 | 0円 | 8万円 | 0円 |
広告・集客費 | 1万円 | 3万円 | 5,000円 |
保険・資格更新費 | 3,000円 | 5,000円 | 3,000円 |
消耗品・備品 | 2,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
月間売上(相談料×1日のセッション数×月稼働日数) | 56万円 (7,000×4×20) | 77万円 (7,000×5×22) | 11万2,000円 (7,000×2×8) |
月間経費 | 2万円 | 13万円 | 1万2,000円 |
月間利益(売上-経費) | 54万円 | 64万円 | 10万円 |
年間利益(月間利益×12ヶ月) | 648万円 | 768万円 | 120万円 |
初年度は予約が安定しないことが多いため、満席にならないケースを想定して計算すると現実的です。たとえば稼働率80%なら店舗開業の場合、77万円×0.8=61万6,000円が月間売上です。
経費は余裕をもって見積もりましょう。広告や設備投資、通信費用などは変動するため、多めに設定すると安心です。
まとめるとカウンセリングルームの儲けは、1回あたりの料金×1日の件数×稼働日数−経費
でシンプルに試算できます。数字を入れて具体的に計算することで、開業前に現実的な収益イメージを持てます。
カウンセリングルームの開業は「儲かるか」で決めて良い?
下記の理由から「儲かるかどうか」だけで、カウンセリングルームの開業を決めるのはおすすめできません。
- 利益を重視しすぎると信頼関係が崩れ、質や評判が落ちる
- 開業初期は経営や集客が安定せず、すぐに判断できない
- 収益以外にも叶えたい目的がある
- 自分だけではコントロールできない要素がある
儲けだけを基準にすると、長期的な経営や集客の問題に直面した際に挫折しやすくなります。結果、専門職としてのモチベーション低下につながる場合があります。
現実的には副業で始め、経験や実績・集客力を構築して本格開業に移行する方法が安心です。収支モデルをチェックして「この規模なら生活できる」という現実的なラインを把握しておきましょう。
なお、下の記事では体験談や上手くいかない原因も交え、カウンセラーの起業が失敗しやすいのかについて詳しく解説しているのでよければ参考にしてください。

カウンセリングルームを開業するメリット・デメリット
カウンセリングルームを開業する際のメリットとデメリットは次のとおりです。
独立開業のメリット | ・自分の理念に沿ったサービスを提供できる ・営業日や時間を自由に設定できる ・サービスの単価や内容を自由に決められる ・専門分野に特化しやすい ・オンラインやレンタルスペースなど働く場所を選べる |
独立開業のデメリット | ・収入が不安定になりやすい ・経営や集客、事務作業をすべて自分でおこなう必要がある ・家賃や光熱費などの固定費が重くなる可能性がある |
独立開業の大きな魅力は、自分らしい働き方や理想のサービスを実現できる自由さにあります。一方で、価格設定やサービス内容を誤ると、集客が伸びず経営が続かないリスクがあります。
独立そのものは「会社員時代に組織が担っていた経営リスクを、自分ひとりで引き受ける」ことです。自由とリスクは常に表裏一体と理解し、現実的な計画を立てましょう。
心理カウンセラーが開業する具体的な手順を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

まとめ
本記事では、カウンセリングルーム開業における収入や経費の構造、メリット・デメリットなどを解説しました。カウンセリングの構造や働き方には限界がありますが、努力次第で安定した収益は可能です。
経費や働き方の工夫にくわえ、知名度を向上した事業の継続が長期的な経営に不可欠です。