「心理カウンセラーとして働くには、どんな資格が必要なんだろう?」
「心理カウンセリングの資格を取得するのって難しいのかな…」
心理カウンセラーを目指すうえで、資格が必要なのか気になる方は多いですよね。
実際のところ、心理カウンセラーに必須の資格はありません。ただし、心理カウンセラーとしての信頼性や専門性を証明するのに役立つ点から、資格は取得しておくのが賢明です。
とはいえ、どの資格を取得すればいいのかわからない方もいるはず。
そこで、本記事では心理カウンセリングに必要な資格やその特徴、取得方法を分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください!。
- 心理カウンセリングの資格は独学でも取得できる
- 求人に応募する場合は、資格取得する方が有利
- 心理カウンセラーの年収は、資格保有や職場によって異なる
心理カウンセリングに必要な資格5選
さっそく、心理カウンセリングに必要な資格を、厳選して5つ紹介します。
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 認定心理士
- 精神保健福祉士
- メンタル心理カウンセラー
1. 公認心理師
公認心理師は、2017年に施行された日本初の心理職における国家資格です。心理学の専門知識と技術を持ち、医療、教育、福祉など多様な分野で活躍しています。
国家資格であるため、社会的信頼性が高く、幅広い領域での活動が期待されている資格です。そのため、職場によっては応募条件として公認心理師の資格が求められることがあります。
資格取得によって仕事の選択肢が広がり、さまざまな領域で働くことができますよ。
資格の特徴 | 2017年に制定された心理職における日本初の国家資格 |
取得方法 | ・大学で心理学を学び、指定の科目を履修 ・大学院で2年間の専門教育を受ける ・国家試験に合格 |
取得期間の目安 | 大学4年+大学院2年の計6年 |
取得難易度 | ・合格率が60%前後で推移しており、簡単ではない ・300時間以上の勉強時間が必要と言われている |
取得のメリット | ・法的に認められた資格であり、信頼性が高い ・活躍できる分野が広い ・医療保険の適用対象となる可能性がある |
資格が活かせる活動領域 | ・医療(病院やクリニックなど) ・教育(スクールカウンセラーなど) ・産業(企業内の産業カウンセラーなど) ・福祉(障害者福祉施設など) ・司法(少年院や家庭裁判所など) |
2. 臨床心理士
臨床心理士は、1988年に設立された日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格で、心理臨床の専門家として高い評価を得ています。
民間資格ですが、長い歴史と実績があり、専門性の高さが評価されています。精神科病院での患者への心理療法や、教育相談所での子どもへのカウンセリングなど、専門的な心理支援が必要な場面で臨床心理士の資格が求められます。
公認心理師と同様、専門的な仕事の応募条件には、資格取得を求められることがほとんどです。そのため、臨床心理士の資格を持っていると仕事の幅を広げることができます。
資格の特徴 | 1988年に制定された日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格 |
取得方法 | ・大学卒業(学部は不問) ・臨床心理士指定の大学院で必要な課程を修了 ・資格試験に合格 |
取得期間の目安 | 大学4年+大学院2年の計6年 |
取得難易度 | ・資格試験の合格率は約60~70%で、継続的な学習が必要 |
取得のメリット | 長年の実績があり、特定の分野で高く評価されている |
資格が活かせる活動領域 | ・医療(病院やクリニックなど) ・教育(スクールカウンセラーなど) ・産業(企業内の産業カウンセラーなど) ・福祉(障害者福祉施設など) ・司法(少年院や家庭裁判所など) |
3. 認定心理士
認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する資格で、心理学の基礎知識と技術を有することを証明します。この資格は職能資格ではないため、特定の職業に直結するものではありません。
そのため、認定心理士の資格は、公認心理師と臨床心理士の資格取得に向けた第一歩として受験されています。
専門的な職に就くことは難しいですが、心理学の基礎を理解していることを示す指標として役立つ場合もあります。
資格の特徴 | ・公益社団法人日本心理学会が認定する資格 ・公認心理士や臨床心理士の資格と比較すると、心理学の専門職に就くのは難しい場合がある ・教育、医療、福祉など、人とかかわりを持つ職業の人が、知識の向上のために取得することが多い |
取得方法 | ・大学で心理学に関する所定の単位を取得し卒業 ・日本心理学会に申請し、審査を受ける |
取得期間の目安 | 大学4年 |
取得難易度 | ・合格率は90%前後であり、難易度は高くない ・大学での所定の単位取得が必要である点は注意が必要 |
取得のメリット | 心理学の基礎知識を有することを公式に証明でき、キャリアの幅が広がる |
資格が活かせる活動領域 | ・保育士や教員が知識向上のために取得 ・一般企業の管理職である立場の人が、指導や育成に関する知識を高めるために利用する ・看護師や介護士が、患者とのコミュニケーションのために利用する |
4. 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神障害を持つ人々やその家族を支援する国家資格です。精神科医療と地域生活をつなぐ役割を担い、1997年に制定されました。
精神科ソーシャルワーカー(PSW)とも呼ばれ、精神保健福祉分野の専門職として信頼されています。資格を取得することで、病院(精神科や心療内科)や、福祉施設などで、専門職として勤務できるようになりますよ。
資格の特徴 | ・精神科ソーシャルワーカー(PSW)とも呼ばれる ・医療・保健・福祉にまたがって活動する専門職 ・社会福祉士、介護福祉士に次ぐ福祉系の三大国家資格の1つ |
取得方法 | ・福祉系大学で指定科目を履修し卒業 ・大学等卒業後、実務経験を積む ・国家試験に合格 |
取得期間の目安 | 【4年制大学卒業ルート】 ・福祉系4年制大学で指定科目を履修して卒業 ・一般4年制大学卒業後、1年以上の一般養成施設等で学習【短期大学・専門学校卒業ルート】 ・福祉系3年制短大等卒業後、1年の相談援助実務経験 ・福祉系2年制短大等卒業後、2年の相談援助実務経験 ・一般3年制短大等卒業後、1年の相談援助実務経験と1年以上の一般養成施設等での学習 ・一般2年制短大等卒業後、2年の相談援助実務経験と1年以上の一般養成施設等での学習【学歴不問ルート】 ・相談援助の実務経験4年以上と1年以上の一般養成施設等での学習 |
取得難易度 | ・国家試験の合格率は60%前後 ・社会福祉士試験よりは難易度が低い |
取得のメリット | 医療機関や福祉施設での就職に有利で、社会的ニーズが高い資格 |
資格が活かせる活動領域 | ・精神科や心療内科などの医療機関・高齢者介護施設 ・精神保健福祉センター ・障害者支援施設 ・企業・教育機関 |
5. メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラーは、一般財団法人日本能力開発推進協会(ADP)認定の民間資格です。心理学とカウンセリングの知識を活かして、心の悩みを抱える人を支えます。
子どもから大人まで幅広い世代に対応できるため、家庭や職場での心のケアにも役立つ資格として注目されています。
メンタル心理カウンセラーの資格では、専門職として就職することは困難です。しかし、現在の職場で部下とコミュニケーションを取る時などに役立てることが可能です。
また、心理カウンセラーの勉強をする際の一歩として、基礎知識を得るために資格取得するという考えもあります。
資格の特徴 | ・一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)認定医の民間資格 ・大学・大学院を卒業しなくても受験できる |
取得方法 | 一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認める講座を修了後、資格試験を受験する |
取得期間の目安 | 数ヶ月~1年程度 |
取得難易度 | 合格率は非公開だが、難易度は低いとされている |
取得のメリット | ・心理学の入門資格として、カウンセリングの基礎を学べる ・資格の難易度が低く、初心者でも取得しやすい |
資格が活かせる活動領域 | ・民間のカウンセリングルーム ・ボランティア活動 など |
心理カウンセリング資格の取得方法
なかには、どう資格を取得すればいいのか、イメージが湧かない方もいますよね。
そこでここからは、心理カウンセリング資格の取得方法を、3つにまとめて紹介します。
- 大学・専門学校大学院への通学で学ぶ
- 講座を活用した独学
- 専門スクールの活用
方法1:大学・専門学校大学院への通学で学ぶ
心理カウンセリングの資格を取得するためには、大学や大学院で学ぶ方法があります。
大学・専門学校大学院に通学するメリット | ・公認心理師や臨床心理士などの資格を取得できる ・心理学の基礎から応用まで学べる ・専門職としての信頼が高まるため、キャリアに影響する |
大学・専門学校大学院に通学するデメリット | ・学ぶ期間が長い・学費がかかる ・通学が負担になる可能性がある ・大学受験が必要なため、気軽に学べない |
大学・大学院では、心理学の基礎から応用まで幅広く学べるだけでなく、公認心理師や臨床心理士などの資格取得に必要な受験資格も得られるのが大きな特徴です。たとえば、公認心理師になるには、指定されたカリキュラムを履修した大学を卒業し、さらに大学院で専門教育を受ける必要があります。
しかし、学びの期間が長く、学費や通学が負担になる点がデメリットです。社会人や家庭を持つ方にとってはハードルが高く感じられることもあります。それでも資格を取得することで、医療や教育など幅広い分野で活躍できる可能性が広がりますよ。
方法2:講座を活用した独学
心理カウンセリングの資格を目指す方法として、通信講座を利用して独学する選択肢があります。
講座を活用した独学のメリット | ・生活スタイルに合わせて学べる ・民間資格であれば独学で資格取得できる場合がある ・短期間で資格取得が可能 ・大学に通うより費用が安い |
講座を活用した独学のデメリット | ・公認心理師や臨床心理士のような国家資格は取得できない ・専門職としての信頼を築くことが難しい |
自分の生活スタイルに合わせて学べるため、仕事や家事と両立しやすいのが特徴です。
メンタル心理カウンセラーなどの民間資格であれば、通信講座を通じて基礎的な知識とスキルを学び、短期間で資格を取得することができます。また、大学に通う場合と比べて費用が抑えられるのも魅力です。
ただし、公認心理師や臨床心理士のような国家資格には対応していない場合が多いので、自分の目指す方向性に合った学び方を選ぶことが大切です。
方法3:専門スクールの活用
心理カウンセリング資格を目指す方法のひとつに、専門スクールの活用があります。
専門スクールを活用するメリット | ・実践的なスキルが身に付く ・学習期間が短く設定されている ・資格取得後の就職サポートなどがある |
専門スクールを活用するデメリット | 公認心理師や臨床心理士のような国家資格は取得できない |
専門スクールでは、実践的なスキルを身につけられる点が大きな魅力です。
たとえば、ロールプレイ形式でカウンセリングの練習を行うなど、実際の現場を意識した学びができます。学習期間も比較的短く設定されていることが多いため、仕事や家事と両立しながら通いやすいのもメリットです。
また、資格取得後の就職サポートや独立に向けたアドバイスを受けられるスクールもあります。ただし、公認心理師や臨床心理士などの国家資格を目指す場合は、別途要件が必要になるため、スクール選びは慎重に行うことが大切です。
心理カウンセリングの資格を取得するメリット
心理カウンセリングの資格を取得することで、仕事や信頼の面で多くのメリットを得ることができます。主なメリットを3つ紹介します。
- 求人応募で有利になる
- 相談者に指名してもらえる確率が高まる
- 現在の仕事でのスキルアップやキャリア形成につながる
資格は、自分の知識やスキルを証明するものとして、求人応募の際にも有利になることが多いです。
また、相談者がカウンセラーを選ぶ際にも、資格の有無が信頼性を判断するポイントになります。公認心理師や臨床心理士の資格を持っている場合は、専門性の高さから、指名される確率が高まります。
心理カウンセラー以外の仕事をしている人には、現在の仕事でのスキルアップやキャリア形成にもつながりますよ。
心理カウンセリング資格は、専門職としての道を広げるだけでなく、日常業務や人間関係の改善にも貢献できる大きな武器です。
心理カウンセラーの基礎知識
ここでは次のトピック別に、心理カウンセラーの基礎知識を解説します。
- 仕事内容
- 平均年収
- 難易度
- 向いている人の特徴
仕事内容
心理カウンセラーは、心に悩みを抱える人々を支える仕事です。不安障害や摂食障害、引きこもり、不登校など、さまざまな問題に寄り添いながら、解決の手助けをします。
最終的には相談者自身が問題に向き合い自分の力で苦難に乗り越えられるようサポートするのがカウンセリングの目的です。
なお、下表のように勤務先ごとでカウンセラーの業務内容は異なります。
勤務先 | 主な業務内容 |
教育現場 | ・児童 ・生徒や保護者へのカウンセリング、不登校 ・発達障害の相談対応 ・学級経営や進路指導のサポート |
一般企業 | ・従業員のメンタルヘルス対策 ・キャリア開発支援 ・人間関係や職場環境の改善 ・高ストレス者へのカウンセリング |
福祉施設 | ・子どもや高齢者、その家族へのカウンセリング ・ソーシャルワーカーやケアマネジャーと連携して支援を行う |
医療機関 | ・心療内科や精神科で患者へのカウンセリングを実施 ・医療スタッフと連携し、家族へのサポートを行う |
司法機関 | ・少年院や刑務所での社会復帰支援 ・矯正計画の立案や教育プログラムの実施に携わる ・犯罪の心理的背景を分析 |
独立・開業 | ・カウンセリングルームを運営 ・恋愛やキャリアなど得意分野に特化したサービス提供 ・心理学セミナーの開催 |
心理カウンセラーは、それぞれの現場で専門知識を活かし、多様なニーズに応える役割を担っています。職場によって業務内容が異なるため、自身の目指すキャリアに合わせて選択することが重要です。
平均年収
心理カウンセラーの平均年収は、資格の種類や勤務先によって異なります。以下に、主な資格別の平均年収をまとめました。
資格別の平均年収
資格名 | 平均年収 |
公認心理師 | 300~400万円 |
臨床心理士 | 450万円 |
認定心理士 | 350万円 |
精神保健福祉士 | 404万円 |
メンタル心理カウンセラー | 370万円 |
勤務先別の平均年収
勤務先 | 平均年収 |
病院(正社員) | 300万~400万円 |
学校(スクールカウンセラー) | 300万~400万円 |
企業(産業カウンセラー) | 380万~520万円 |
これらの数値は、勤務形態や経験年数、勤務先の規模などによって変動します。
また、民間の心理カウンセラー資格を取得して活動する場合、収入は個人の活動内容や実績に大きく依存します。資格取得を検討する際は、各資格の特徴や自身のキャリアプランに合わせて選ぶことが重要です。
難易度
心理カウンセリング資格の取得難易度は、種類ごとで異なります。
難易度を以下の3つに区別して解説します。
- 難易度A:大学院の修了が必要
- 難易度B:大学院の修了は不要
- 難易度C:通信講座などで取得可能、合格率が高め
資格名 | 公認心理師 | 臨床心理士 | 精神保健福祉士 | 認定心理士 | メンタル心理カウンセラー |
---|---|---|---|---|---|
難易度 | A(高い) | A(高い) | B(中程度) | C(低い) | C(低い) |
特徴 | ・国家資格である ・大学・大学院修了が前提条件 ・合格率は約60%前後 | ・大学・大学院修了が前提条件 ・合格率は約60%前後 | ・国家資格だが、比較的取得しやすい ・合格率は60~70%と高め | 大学で心理学の基礎知識を修得していることを認定する資格 | 通信講座で取得可能・在宅受験が可能 |
公認心理師や臨床心理士は、試験の難易度も高く、取得までに時間と費用がかかります。一方、メンタル心理カウンセラーなどの民間資格は、通信講座での学習が可能で、比較的短期間で取得できます。
ただし、資格の難易度は、取得後の信頼性や活動範囲にも影響するため、自分の目的に合った資格を選ぶことが重要です。
向いている人の特徴
心理カウンセラーに向いている人の特徴を以下にまとめます。
- 他者に関心を持ち、寄り添える人
- 広い視野と深い知識を持ち、論理的に考えられる人
- 高いコミュニケーション能力と傾聴力を持つ人
- 忍耐強く、相手のペースに合わせられる人
- 適切な距離感を保ちつつ、相手を安心させる包容力がある人
これらの特徴を持つ人は、心理カウンセラーとして活躍する素質がある可能性が高いです。
まとめ
今回の記事では、心理カウンセリングの資格について解説しました。
心理カウンセリングに関する資格は、多くの種類があり、取得方法もさまざまです。自分の目指す道を考え、取得を目指す資格を選択しましょう。
年齢や経歴に関係なく取得できる資格もありますので、諦めずに挑戦してくださいね。