「社会人になってからでもカウンセラーになれるの?」
「働きながら目指せるか不安…」
転職や副業などを見据え、カウンセラーになりたいと考えている方は多いですよね。計画的に準備を進めれば、社会人として働きながらでもカウンセラーを目指せます。
ただ、具体的な手順があいまいなまま目指し始めては、かけた時間や費用を無駄にしかねません。
そこで本記事では方法を交え、社会人がカウンセラーを目指す手順を解説します。この記事を読めば、カウンセラーになる道のりが明確になりますよ。
- 働きながらの社会人でも学習時間を作ればカウンセラーを目指せる
- カウンセラーを目指す前になりたい理由や働き方を明確にする
- 働きながらカウンセラーを目指すには、まず心理学の基礎を学ぶ
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働きながらの社会人でもカウンセラーは目指せる

冒頭で述べたとおり、働きながらでも社会人がカウンセラーを目指すことは可能です。社会人のライフスタイルに合わせて学べる環境が整っているためです。
たとえば、通信制の大学や大学院であれば、自分のペースで学習を進められます。また、週末に開講しているカウンセラー養成スクールもあります。これらの学習機会を活用することで、仕事を辞めずに知識やスキルを身につけられるのです。
実際に、カウンセラーのマウラニさんは働きながら養成講座で学び、資格を取得して活動しています。もちろん、時間や費用などの課題はありますが、明確な目標と計画があればカウンセラーを目指せます。
社会人がカウンセラーを目指す前に明確にすべきこと
ここからは社会人がカウンセラーを目指す前に明確にすべきことを、5つにまとめて紹介します。
上記の点が曖昧なままだと、学習の途中で意欲が低下したり、カウンセラーになった後に「想像と違った」と感じたりするかもしれません。ミスマッチを防ぐためにも、理由や目指す職種などを事前に整理しておきましょう。
なりたい理由

カウンセラーを目指す前に、なりたい理由は明確にしておきましょう。
カウンセラーになるための学習は、決して簡単な道のりではありません。明確な動機があることで学習のモチベーションを維持し、困難に直面したときの支えになります。理由が曖昧なままでは、途中で挫折する可能性があるのです。
なりたい理由の具体例には、次のものが挙げられます。
- 人の心の支えになる仕事がしたい
- 自身の悩みがカウンセリングで解決した経験を活かしたい
- 現代社会が抱えるメンタルヘルスの問題に貢献したい
- 人の成長や変化を支援することにやりがいを感じる
自身の経験や価値観と向き合い、なぜカウンセラーを目指すのかを言葉にしてみましょう。
カウンセラーへの理解

カウンセラーへの理解は、社会人が目指す前に明確にすべきことの1つです。
理想と現実のギャップが大きいと、カウンセラーになった後に後悔しかねません。仕事内容や年収など、カウンセラーに関する基本的な情報は把握しておくのが重要です。
| 仕事内容 | 対話を通じて心の悩みを抱えた人をサポートする |
| 主な職場 | ・病院 ・学校 ・児童相談所 ・精神保健福祉センター ・一般企業 |
| 平均年収 | 約369万円(※1) |
| 就業難易度 | 専門職であるためやや難しめ |
| 資格の必要性 | 資格がなくてもカウンセラーを名乗ることは可能だが、資格は専門スキルの証明となり信頼を得やすくなる |
| 働きがい | ・相談者の心の回復や成長に立ち会える ・人の役に立っていると実感できる |
ただし、収入面について、カウンセラーの求人はパートやアルバイトも多いです。カウンセラーのマウラニさんのように、資格取得後すぐにカウンセリング業務だけで安定した収入を得るのは簡単ではないケースもあります。
華やかな面だけでなく厳しい側面も理解した上で「それでも挑戦したい」と思えるかどうかが、後悔しないための判断基準となります。
カウンセリングに必要な資格を詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

目指す職種

目指す職種は、社会人がカウンセラーになる前に明確にすべきことの1つです。次のように、目指す職種ごとで必要となる知識や資格・選ぶべき学習ルートは異なります。
| 目指す職種 | カウンセラー | スクールカウンセラー | 産業カウンセラー |
|---|---|---|---|
| 必要な資格 | ・メンタル心理カウンセラー ・メンタルケア心理士 | ・公認心理師 ・臨床心理士 | ・産業カウンセラー ・キャリアコンサルタント |
| 必要な知識 | ・心理学の基礎 ・カウンセリング技法 | ・発達心理学 ・教育心理学 | ・産業心理学 ・労働関連法規 |
まずは、どのような方のどのような悩みをサポートしたいのかを考えましょう。目指す職種の方向性を絞り込むことが、具体的な学習計画を立てるうえで役立ちます。
理想の働き方

理想の働き方は、社会人がカウンセラーになる前に明確にすべきことの1つです。下記のように働き方の希望によって、準備の進め方が変わります。
| 特徴 | 準備の進め方 | |
|---|---|---|
| 就業 | 医療機関や企業などに所属し、 安定した収入と実務経験を得る | 資格取得後、求人に応募し 実務経験を積む |
| 副業 | 現在の仕事を続けながら、 週末や夜間にオンラインなどで活動する | スキルマーケットや副業可能なオンライン 相談サービスに登録し、実績を積む |
| 独立 | 自分の裁量で自由に働き、開業する | 実績と信頼を積んだ後に、 集客を準備して開業する |
どの働き方を選ぶかによって、目標達成までの道のりや準備すべきことが明確になります。自身のライフプランやキャリアプランと照らし合わせ、長期的な視点で理想の働き方を考えてみてください。
確保できる勉強時間

確保できる勉強時間は、社会人がカウンセラーになる前に明確にすべきことの1つです。
確保できる学習時間によって、選ぶべき学習スタイルが具体的に絞られてくるからです。たとえば、時間がとりやすい方はスクール、自分のペースで学びたい方は講座など選べます。実現不可能な計画を立ててしまうと、途中で挫折する原因になりかねません。
たとえば「平日の帰宅後に1時間、休日に3時間で週に合計7時間」と具体的な時間を算出しましょう。通勤時間や休憩時間などのスキマ時間をどのように活用できるかも考えてみてください。
現在の生活リズムを見直し、学習に充てられる時間を書き出してみることから始めましょう。
社会人が働きながらカウンセラーを目指す方法
ここからは社会人が働きながらカウンセラーを目指す方法を、3つにまとめて紹介します。
大学・大学院に編入する

大学・大学院に編入することは、社会人が働きながらカウンセラーを目指す方法の1つです。
臨床心理士や公認心理師などの信頼性の高い資格を目指すとき、大学や大学院で指定の課程を修了することが必須です。これらの資格は医療や教育、福祉の現場でカウンセラーとして働くうえで有利になります。
働きながら学ぶ際には、通信制や夜間開講の大学・大学院を探してみましょう。社会人入試や長期履修制度など、社会人が学びやすい制度を設けている学校もあります。
ただし、時間と費用は他の方法に比べて大きくなるため、明確なキャリアプランを持って臨むことが求められます。
資格取得を見据え独学で就業活動に臨む

| メリット | ・時間や場所の制約が少なく、すぐに学習を開始できる |
| デメリット | ・モチベーションの維持が難しい ・実践的なスキルを習得しにくい |
| こんな人におすすめ | ・心理学の基礎を学びたい人 ・費用を抑えたい人 |
社会人が働きながらカウンセラーを目指すには、資格取得を見据え独学で就業活動に臨みましょう。
独学は費用を抑えながら、自分のペースで学習できます。仕事が忙しい時期はペースを落とし、余裕のある時期に集中して進められるのです。また、民間資格であれば独学でも取得できるため、臨床心理士などの資格を目標としない方に適しています。
しかし、明確な目標設定と進捗管理を自分で行わないと、学習が中途半端に終わる可能性があります。また、膨大な情報の中から自分に必要なものを取捨選択する力も求められます。
実践経験の不足を補うために、意識的にアウトプットの機会を設ける工夫も必要です。
カウンセラーの養成スクールに通う

| メリット | ・講師に直接質問や相談ができる ・同じ目標を持つ仲間と学べる |
| デメリット | ・受講料がかかる ・スクールによってカリキュラムに差がある |
| こんな人におすすめ | ・短期間で効率的に学びたい人 ・実践的なスキルを確実に身につけたい人 |
カウンセラーの養成スクールに通うことは、社会人が働きながらカウンセラーを目指す方法の1つです。
スクールではカウンセリングの基礎理論からロールプレイングなどの実践演習まで、要点を押さえたカリキュラムが組まれています。短期間で即戦力となるスキルを習得したい方にとっては有効な方法です。
スクール選びでは、次の項目を比較しておきましょう。
- 学べる内容
- 講師の経歴
- 資格取得の実績
- 卒業後のサポート体制
受講料は決して安くありませんが、カウンセラーを目指すための自己投資と捉えましょう。
カウンセラー養成スクールのおすすめを詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

社会人が働きながらカウンセラーを目指す5ステップ
ここからは社会人が働きながらカウンセラーを目指す手順を、5つのステップにまとめて紹介します。
目指す職種や働き方が決まったら、この5ステップに沿って学習を進めましょう。基礎から応用へと段階的に学ぶことで知識が定着しやすく、カウンセリングの全体像を理解できるからです。
ステップ1:心理学の基礎を学ぶ

まずは、心理学の基礎を学びましょう。相談者の悩みを正しく理解するためには、人の心の仕組みに関する基本的な知識が必要です。
学習方法としては、通信講座や書籍の活用が挙げられます。
| おすすめの教材 | |
|---|---|
| おすすめの講座 | ・心理カウンセリング講座(生涯学習のユーキャン) ・メンタル心理カウンセラー資格取得講座(キャリアカレッジジャパン) ・心理カウンセラー講座(ヒューマンアカデミー) |
| おすすめの書籍 | ・カウンセリングとは何か 変化するということ ・河合隼雄のカウンセリング入門 ・マンガでやさしくわかるカウンセリング |
まずは初心者向けの入門書を1冊読んでみることから始め、カウンセリングの世界に触れてみてください。
カウンセラー講座のおすすめを詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

また、心理カウンセラーのおすすめ本を詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

ステップ2:民間資格を取得する

心理学の知識を身につけたら、次は民間資格の取得を目指します。
資格は自身の知識レベルを客観的に証明する手段となるだけでなく、学習を進めるうえでのロードマップにもなります。資格試験という明確なゴールがあることで、逆算して学習計画を立てやすくなり、効率的に知識を習得できるためです。
社会人が取得しやすい民間資格の例は、下記の通りです。
| 資格名 | 特徴 |
|---|---|
| メンタルケア心理士 | 心理学の基礎知識とカウンセリングの技術を習得できる |
| メンタル心理カウンセラー | 心理学の基礎理論からカウンセリングの技術まで幅広く学べる |
| 傾聴心理士 | カウンセリングの基本となる「傾聴」のスキルに特化している |
それぞれの資格の受験資格や試験内容を確認し、自分に合う資格を選んで計画的に学習を進めましょう。
独学でカウンセラーの資格を取得する方法を詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

ステップ3:カウンセリング技法を身につける

資格の勉強と並行して、実践的なカウンセリング技法を身につけましょう。
カウンセリングは、知識だけで成り立つ業務ではありません。相談者の話に深く耳を傾ける「傾聴」や、相手をありのまま受け入れる「受容」などのスキルが必要です。
カウンセリング技法を身につけるには、次の練習をしましょう。
- YouTubeなどで模擬カウンセリングの動画を視聴する
- オンライン講座の実習に参加する
- カウンセリングの勉強会や傾聴ボランティアに参加する
知識のインプットだけでなく、スキルをアウトプットする機会を積極的に設けることが実践力を高めます。
ステップ4:実務経験を積む

知識と技法を学んだら、実践経験を積みましょう。
未経験からすぐに有償のカウンセラーとして活動するのは簡単ではありません。まずは経験を積み、信頼と実績をつくることが大切です。
実務経験を積む方法には、下記のものがあります。
実際の相談に触れる機会をつくり、経験を積み重ねていきましょう。
ステップ5:理想の働き方に向けて動き出す
これまでのステップで得た知識や資格、経験をもとに、理想の働き方に向けて動き出しましょう。目指すカウンセラーの働き方によって、具体的なアクションは異なります。
ここからは次の働き方それぞれの目指し方を解説します。
就業を目指す場合

就業を目指す場合は、次の手順を踏みましょう。
- 求人情報を検索する
- 応募書類を準備する
- 契約社員やパートタイムなども含めて応募する
まずは、求人情報を探して応募活動を開始します。求人サイトでは「カウンセラー」だけでなく「相談員」「支援員」などのキーワードでも検索しましょう。福祉施設やNPO、企業なども探すと選択肢が広がります。
応募書類には、これまでの社会人経験がカウンセリング業務にどう貢献できるかを具体的に書きましょう。たとえば、マネジメント経験は人間関係を調整する能力、事務職の経験は記録作成の正確性としてアピールできます。
未経験からの就職活動では最初から正社員に絞らず、契約社員やパートタイムも検討してみてください。現場での実績を重ねて信頼を得ることで、正規雇用への道が開けます。
副業カウンセラーを目指す場合

副業として活動する場合、下記の手順で始めてみてください。
- プラットフォームに登録する
- 得意分野を明確にし、プロフィールを作成する
- 守秘義務や保険などのリスク管理をする
オンラインカウンセリングのプラットフォームやスキルマーケットに登録しましょう。
その際、多くのカウンセラーの中から選んでもらうためには自分自身のブランディングが必要です。「キャリア相談」「子育ての悩み」など自身の経験や学習内容に基づいた得意分野を明確にし、ターゲット層に響くプロフィールを作成します。
また、副業であってもプロとしての倫理観と責任が伴います。たとえば、相談者の秘密を守る守秘義務の徹底、万が一に備えた賠償責任保険への加入検討などのリスク管理が必要です。
独立を目指す場合

独立を目指す場合、カウンセラーとしてのスキルだけでなく事業主としての経営手腕が問われます。次の手順を踏みましょう。
- 事業計画を立てる
- 集客活動を開始する
- 研修に参加し、同業者とのネットワークを作る
まず「誰に、何を、どのように提供するのか」を明確にした事業計画を立てましょう。料金体系やカウンセリングの形態、集客方法などを具体的に設計します。
集客はホームページやXだけでなく、地域の専門家との連携やセミナー開催など、複数の方法を組み合わせることが事業の安定につながります。
孤立を防ぎ、スキルを維持向上させるためにも、研修会への参加や同業者とのネットワークを構築しましょう。
心理カウンセラーが独立する手順を詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

まとめ
社会人でも、働きながらカウンセラーを目指すことは可能です。
大切なのはなぜカウンセラーになりたいのかという目的を明確にし、自分に合う方法で計画的に学習を進めることです。
カウンセラーへの道は、決して平坦ではないかもしれません。しかし、人の心に寄り添い、相談者の回復や成長を支援できるやりがいのある仕事です。この記事で解説したステップを参考に、カウンセラーへの一歩を踏み出してみてください。


