SNSカウンセラーが開業するには?独立する方法&手順まとめ

SNSカウンセラーが開業するには?独立する方法&手順まとめ

「SNSカウンセラーとして開業するにはどうしたらいいんだろう?」
「開業は個人事業主で始めるべき?法人化したほうがいいのかな…」

専門性を活かし、SNSカウンセラーとして独立したい方は多いですよね。環境を整えれば、SNSカウンセラーが開業しオンラインで安定した活動や収益を得ることは十分可能です。

しかし、開業の具体的なイメージがないまま始めると「もっと準備しておけばよかった…」と後悔しかねません。

そこで本記事では必要な準備や手順を交え、SNSカウンセラーの開業方法をわかりやすく解説します。この記事を読めば、SNSカウンセラーとして独立するまでの流れが理解できます。

この記事の要約
  • SNSカウンセラーの開業は目的や規模で選ぼう
  • カウンセラーの開業には経営力も必要
  • SNSカウンセラーの年収はスキルや事業で変動する

本記事の要点を音声でチェック!

目次

SNSカウンセラーの開業方法

はじめにSNSカウンセラーが開業する主な方法を、2つにまとめて紹介します。

個人事業主として開業する

SNSカウンセラーで開業する方法の1つが、個人事業主になることです。税務署に開業届を提出するだけで始められ、手続きは比較的シンプルといえます。

個人事業主として開業するメリット・社会的信用を得やすい
・事業用の口座を開設できる
・手続きが簡単でスムーズ
個人事業主として開業するデメリット・収入が増えると税負担が重くなりやすい
・事業の損失や借金の責任を負う「無限責任」が生じる
・法人より社会的信用度が低い
個人事業主はこんな方におすすめ・開業資金を抑えたい方
・すぐにカウンセラーとして活動したい方
・小規模から段階的に事業を広げたい方

個人事業主としての開業は、手続きが簡単で費用も抑えやすく、すぐに活動できる点が特徴です。小さく始めて徐々に事業規模を広げたい方は、個人事業主としての開業を検討しましょう。

法人を立てる

SNSカウンセラーで開業するもう1つの方法が、法人を設立することです。手続きや費用が必要になるためハードルは高くなりますが、信頼性や事業拡大を重視する方には有効といえます。

法人化のメリット・クライアントや取引先から社会的信用を得やすい
・所得が700万円以上の場合、節税効果が期待できる
・社会保険に加入できるため人材採用が有利になる
法人化のデメリット・設立費用や社会保険料などのコストがかかる
・会計や税務申告が複雑で、専門家のサポートが必要になる場合がある
・事務作業や管理の負担が増える
法人化はこんな方におすすめ・事業を中長期的に大きく成長させたい方
・法人や企業をクライアントにしたい方
・節税や社会保険の整備を重視したい方

法人設立には、事業形態を整えるだけでなく、信頼性やビジネスの成長を見据える展望があります。初期費用や運営の手間はかかりますが、安定した事業には法人設立がおすすめです。

SNSカウンセラーが開業前にやるべきこと

SNSカウンセラーとして成功するには、事業基盤の構築が欠かせません。

そこでここからは開業前にSNSカウンセラーがやるべきことを、3つにまとめて解説します。

「SNSカウンセラー認定登録要件」を満たす

まず、SNSカウンセラー認定登録要件を満たしましょう。「SNSカウンセラー認定登録制度」とは、一般財団法人全国SNSカウンセリング協議会が設ける認定登録制度です。

法律で定められた国家資格ではありませんが、クライアントの信頼を得るために重要な制度です。認定登録要件を満たす方法は、下記3つのケースに分かれます。

保有資格の有無によって、受講すべき講座や手続きが異なります。

スクロールできます
ケース保有資格必要な講座や手続き登録手続きに必要な書類
A心理カウンセラー資格あり
(公認心理士や臨床心理士など)
協議会指定のSNSカウンセラー養成講座を修了・心理カウンセラー資格証
・養成講座修了証
B隣接国家資格あり
(精神保健福祉士や社会福祉士など)
・協議会指定の心理カウンセリング講座(約50時間)
・協議会指定のSNSカウンセラー養成講座を修了
・隣接国家資格証
・心理カウンセリング講座修了証
・養成講座修了証
C資格なし・心理カウンセラー資格または隣接国家資格の取得
・取得後、AまたはBの流れへ
・取得した資格証
・必要講座の終了証

SNSカウンセラー認定登録要件を満たすと、一定の基準を満たした専門家であることを証明できます。実務経験が少ない場合でも、信用の獲得には大きく役立つ制度です。

事業内容の明確化

次に、事業内容も明確化しておきましょう。漠然とした内容でなく「誰のどんな悩みを、どのように解決するのか」を定めておくことが大切です。

たとえば、下記のように事業のターゲットや提供サービスを明確にしておきましょう。

内容
ターゲット・職場ストレスに悩んでいる20代女性
・子育てに不安を抱える30代女性
・人間関係に悩むビジネスマン
提供サービス・オンラインカウンセリング1時間8,000円
・メールカウンセリング月額定額5,000円や
往復回数制1往復3,000円

料金は、カウンセラーのスキルやターゲット層、提供サービスなどを踏まえて戦略的に決定します。

オンラインカウンセリング市場は参入が容易なため、競合も多いのが現実です。そのなかでサービスを選んでもらうには、明確なターゲットとニーズに特化したサービス設計が欠かせません。

事業の方向性を明確にすることが、集客やブランド構築、収益化などの土台につながります。

集客方法の具体化

事業内容を明確にしたあとは、ターゲットに合った集客方法を決めましょう。SNSカウンセラーには、オンラインとオフラインを組み合わせた多角的な戦略が必要です。

具体的には、下記のような集客方法をおすすめします。

オンライン・ホームページ
・ブログ
・SNS(XInstagramYouTube)
・有料広告(Google広告、SNS広告)
オフライン・心理学講座やセミナーの開催
・医療機関や学校、企業など関連施設への営業

集客を成功させるポイントは、単なる宣伝だけでなく、情報提供を通じて信頼を築くことです。

ブログやYouTubeなどで役立つ心理学情報や解決策を継続して発信すると、見込み客の信頼が構築されます。信頼が深まったタイミングで、初めて有料サービスへ申し込みにつながるのです。

さまざまなチャネルでの発信を重ね、価値提供や信頼構築に努めることが集客成功のポイントです。

【個人事業主】SNSカウンセラーの開業手順

ここからはSNSカウンセラーが個人事業主として開業する手順を、3つにまとめて解説します。

1.必要書類の提出

はじめに、必要書類を提出しましょう。

個人事業主として開業する際に最初におこなうのは、税務署への書類提出です。なかでも、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)青色申告承認申請書が重要です。

出典:個人事業の開業・廃業等届出書
出典:所得税の青色申告承認申請書

それぞれの書類の概要や提出するメリットを、表にまとめました。

スクロールできます
書類概要提出するメリット
開業届・事業の開始を税務署に知らせるための書類
・提出方法:管轄の税務署窓口、郵送、e-Tax
・事業口座やクレジットカード開設時に必要になる場合がある
・社会的信用を得やすい
青色申告承認申請書・確定申告を青色申告でおこなうために必要な書類
・開業届と同時の提出が強く推奨される
・原則として開業日から2か月以内、
または開業年の3月15日までに提出する
(期限を過ぎるとその年は青色申告できない)
・最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
・赤字を3年間繰り越せる
・家族への給与を経費にできる

開業届と青色申告承認申請を同時に提出すれば、手続きがスムーズになり、開業初年度から最大限の節税メリットが受けられます。書類上の手続きだけでなく、将来の税負担を軽減するために重要な戦略です。

2.活動環境を整える

次に、活動環境を整えましょう。SNSカウンセリングは場所を選ばず実施できますが、スムーズな業務とクライアントの信頼獲得には、適切な環境が欠かせません。

必要な設備パソコン(オンライン面談・資料作成)
・スマートフォンまたはタブレット(外出先での対応や連絡)
・安定した高速インターネット環境
・ヘッドセットや外付けマイク(音声の明瞭化・雑音防止)
プライバシー保護・個室や防音対策のある空間
・個人情報の管理を徹底し、第三者に会話が聞かれない環境
オンライン上の演出・クライアントに安心を与える壁の色やインテリアなど
・顔が明るく見える適度な照明
・信頼感を与える姿勢や表情
・声のトーン

オンラインカウンセリングでは、クライアントは表情や声、背景などの限られた情報から信頼性を判断します。通信環境の不安定さやプライバシーへの配慮不足は、カウンセリングの質を損ない、不信感につながる恐れがあります。

SNSカウンセラーの環境整備は、クライアントに信頼してもらうための重要な投資です。

3.加入する保険を決める

次に、加入する保険を決めましょう。

カウンセラーは人の心身にかかわるため、予期せぬトラブルや事故のリスクがあります。リスク対策に加入を検討したいのが、カウンセラー賠償責任保険です。だからこそ、予期せぬトラブルや事故に備える必要があります。

下記に、カウンセラー賠償責任保険のポイントをまとめました。

加入の必要性・個人情報漏洩、名誉毀損、クライアントの心身トラブルなどの賠償責任に備えるため
加入のメリット・クライアントに安心感を提供する
・万が一のトラブルに身を守れる
補償内容の一例・法律上の賠償責任
・訴訟費用
・プライバシー侵害への対応
・迷惑行為被害への対応費用
加入のポイント・所属する協会や団体の会員向け保険制度を確認しておく
・個人で加入できる民間保険を比較検討する

万が一のリスクに備えておくことが、事業やクライアントを守る手段になります。トラブルが発生した場合でも事業を継続できるように、準備しておきましょう。

【法人化】SNSカウンセラーの開業手順

ここからはSNSカウンセラーが法人設立する開業手順を、3つにまとめて解説します。

STEP1:会社の形式を決める

はじめに、会社の形式を決定しましょう。会社の形式は「合同会社」か「株式会社」かに分けられます。

特徴
合同会社・株式会社より設立費用を抑えられる(約6~10万円)
・手続きが比較的簡単
・小規模で家族経営や副業をしたい方向け
・社会的信用度は株式会社に劣る場合がある
株式会社・設立費用がかかる(約24万円)
・手続きが合同会社より複雑
・大規模な事業展開をしたい方向け
・高い社会的信用が得られ銀行融資が受けやすい

SNSカウンセラーの事業は、ほとんどの場合大規模な初期投資を必要としません。そのため、低コストで設立できる合同会社が現実的な選択肢となるでしょう。

過剰なコストを避けつつ法人化のメリットを享受したい場合は、合同会社から始めることが賢明です。

STEP2:設立に必要な書類を用意する

次に、法人の設立に必要な種類を用意しましょう。法人設立には、個人事業主とは比べ物にならないほど多くの書類が必要です。

定款・会社の根本規則を定めた書類
・電子定款にすると印紙代を節約できる
資本金の払込証明書・発起人個人の銀行口座に資本金を振り込んだ通帳のコピーなど
印鑑登録証明書・代表社員または代表取締役の印鑑証明書
その他設立登記申請書
印鑑届書 など

法人設立の手続きは複雑で、一人でおこなうには多くの時間と労力が必要になります。そのため、司法書士や行政書士などの専門家のサポートを検討しましょう。

専門家への依頼費用はかかりますが、本業に集中するために必要な投資です。

STEP3:法人名義の口座をつくる

次に、法人名義の口座を開設しましょう。資金を管理し、会社としての信用を示すために、法人名義の銀行口座は欠かせません。

開設手順・金融機関を選択する
・窓口またはオンラインで開設申し込みをする
・審査に必要な書類を提出する
必要書類履歴事項全部証明書(登記事項証明書)
・法人の印鑑証明書
・取引担当者の本人確認資料(運転免許証など)
・事業内容が説明できる事業計画書
・事業の実態を証明するウェブサイトやパンフレット など

法人名義の口座開設は、法人としての存在が認められる重要な手続きです。単なる手続きに終わらず、事業の信頼性や透明性が評価されます。

設立時に定めた事業計画や必要資料は、漏れなく揃えて準備しておきましょう。

SNSカウンセラーが開業する際によく抱く疑問

最後にSNSカウンセラーが開業する際によく抱く質問へ、まとめて回答します。

実務の経験がなくても開業できる?

実務経験がなくても、SNSカウンセラーは開業できます。SNSカウンセラーは、医師や弁護士のように国家資格が必要な職業ではないためです。

しかし、カウンセラーはクライアントとの信頼関係が不可欠な職業です。実務経験がない場合は、クライアントからの信頼を得ることが極めて困難になるでしょう。

カウンセラーの経験を積むには、下記の活動がおすすめです。

  • 副業でオンラインカウンセリングを始める
  • ボランティアやモニターセッションをおこなう
  • 研修や資格取得で知識やスキルを高める

知識やスキルを証明できると、実務の経験がない場合でもクライアントの信頼は得られます。SNSカウンセラーとしての活動の基盤は、小さな積み重ねから形成されます。

開業するとどれくらい年収は増える?

開業したからといって、必ずしも年収が増えるわけではありません。SNSカウンセラーの年収を左右するポイントは、下記の通りです。

  • カウンセリングの単価
  • 集客力や発信力
  • クライアントの継続・リピート率
  • オンラインセミナーや有料コンテンツなどの展開

カウンセラーの収入は、資格や勤務先、雇用形態で変わります。公認心理士や臨床心理士の資格を保有していると、給料や手当が高めに設定される場合があります。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によれば、カウンセラーの平均年収は約430.2万円です。スキルや経験を積み重ねて独立すれば、事業の取り組み方次第で年収アップも目指せます。

高収入を得るためには、カウンセリング力だけでなく、マーケティングや財務管理など経営スキルが重要です。自分自身のブランドを築いていきましょう。

まとめ

本記事では、SNSカウンセラーとして開業する方法や準備、よくある質問について解説しました。

SNSカウンセラーとして成功するには、カウンセリング力と経営スキルの両立が不可欠です。開業形態の選択やターゲット設定、集客戦略など一つひとつのステップが、信頼性と収益をもたらします。

まずは情報収集や資格の取得など、小さな一歩から始めましょう。

こちらの記事もおすすめ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

水本 まほろのアバター 水本 まほろ 作業療法士/Webライター

【プロフィール】
作業療法士として総合病院やクリニック、訪問リハビリテーションなどに勤務しながら、2024年からWebライターとしても活動中。主に企業のオウンドメディアやSNSの執筆を担当し、臨床の経験を活かした医療や介護、福祉関連の執筆が得意。医療の現場には精神が不安定な患者様が多いことを実感し、「つらい思いをしている方の力になりたい」との想いで執筆に励んでいる。
【専門分野】
医療分野(神経内科/整形外科/精神科/リハビリテーション/老年期)、健康、介護、福祉
【保有資格】
作業療法士
YMAA認証マーク
住環境コーディネータ2級

目次